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女は翼を生やし降りてきた。
女は花を探していた。
女は花になった。
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女はただ死を待っていた。
命の燈火が小さくなっていくのを感じながら、ただ待っていた。
ここにはもうなにもない。
ふと、ある噂を思い出していた。
下の世界には楽園があることを。
いっそここで死ぬのであれば、楽園で死を迎えたいと願った。
一縷の望みをたよりに、下へ降りたった。
下の世界は変わり果てていた。
空からではよく見えない。
近くの森へ降りた。
楽園がどこにあるのかもわからないまま、ひたすら歩いた。
死が迫ってくるの感じながら、彷徨い歩いた。
森を抜けると、女の前に花があった。
女は見惚れた。
少し、生を分けてもらった気がした。
女は楽園のことを忘れ、花を集めはじめた。
体が保つまで花を集め続けた。
一瞬、死を感じた。
倒れかけたのか、大きな腕が女の体を支えていた。
見知らぬ男が支えていた。
女は気にせずひたすら花を探し集めた。
男は女を支えながら、花探しを手伝った。
女は集めているうちに、花になりたいと願った。
男はそれを叶えようとした。
女の手足が消えゆくも、魂に近い部分は維持していた。
男は女が集めた花を体に飾り、1本の大きな花を作り座らせ、98本の花で女を囲った。
女は笑った。
「世界に取り残された神の一部達」より
製作者:雲類鷲 燈千
制作日:2022年1月1日